同僚や上司に対して、積極的にフィードバックは行っていくべきだと主張する方がいます。いわばダメ出しをしてもらうことで、自分のいい部分悪い部分を改善していくことができますが、柴垣敏久さんはこのフィードバックには問題があると指摘。本当にフィードバックが欲しいのか、相手の事を考えてフィードバックをしているのか、微妙なケースが多いと指摘するのです。
本当にあるべきフィードバックの姿勢があり、その姿勢をとれているのか、相手の事を考えてフィードバックができているのかを考えると、実際にできている人は限られます。どのようなフィードバックを行うべきなのか、どんなフィードバックはお互いのためにならないのかなどをご紹介していきます。
ダメ出しを求めるならどんなダメ出しでも受け取るべし
柴垣敏久さんは、積極的にフィードバック、ダメ出しを求める若者たちに疑問を投げかけます。その理由として、結局自分が思っていることを言ってほしいだけではないかと思ってしまうからと挙げています。例えば、営業成績がなかなか出せない人がダメ出しを求めるとします。ダメ出しを求める人からすれば、自分なりにできない理由を考え、改善点はこんな感じだろうという思いがあります。
しかし、その人が全く想像もつかないダメ出しをした場合、多くの人はユニークなダメ出しを行う人に疑問を持ち、ふざけているのだろうかと怒りすら感じるのです。でも、それがなぜユニークなダメ出しと感じ、全く解決につながらないと考えているのでしょうか。実際にやってみなければわからないですし、本当に解決につながらないなんてわかるはずがありません。つまり、自分が思っていることを言って欲しいからフィードバックを求めるのです。
フィードバックをする側は、これをやれば本当に営業成績が上がると考えているかもしれません。女性であればホストクラブに行け、男性であればキャバクラに行け、そしてシャンパンをボトルで入れろ、そうすれば営業成績が上がると言われれば、多くの人は信じないはずです。でも、それをやって結果を出せる人がいるかもしれないですし、それがフィードバック、ダメ出しです。その覚悟がないのにフィードバックを求めるのはおかしいと柴垣敏久さんは考えます。
フィードバックをする側も自分の事として考えるべし
柴垣敏久さんもフィードバックをしてほしい、ダメ出しをしてほしいと言われることがあるのだとか。その際にどんなことについてフィードバックをしてほしいのかを聞いた上で、色々なデータを活用しながら、やるべきことを紹介しているそうです。結局、相手の事を考えてフィードバックをする以上、相手の事を知らなければ実のあるフィードバックにはならないというポリシーがあるのだとか。そのため、だいぶリサーチをしてからフィードバックをするそうです。
そして、自分が成功したやり方を決してフィードバックで伝えないという決まりを自分に課しているのだとか。人間は、他人の成功体験を押し付けられても、あなたとわたしは違うと反発してしまい、聞く耳を持てなくなると柴垣敏久さんは考えています。なので、自分の成功体験はあくまでも自分の成功体験なので、まずは相手にとって取り組みやすいフィードバックをしようと心がけ、相当な時間がかかるようです。
その場ですぐにフィードバックがもらえると思っていた人からすれば、結構な時間がかかることに驚きもあるらしく、過去には、そこまで大事ではないからもう結構ですと断られたことも。でも、本来フィードバックというのはそれくらい時間をかけてするべきではないのかと、断ってきた後輩に対して怒りの気持ちを持ったこともあるようです。
フィードバックは信頼できる人にだけしてもらうべし
多くの人からフィードバックをもらえれば、素晴らしい答えがどんどん返ってくると普通は考えがちです。しかし、フィードバックを求めることの恐ろしい点は、フィードバックの結果、どんな展開になったのかを報告する義務がある点です。あなたからのフィードバックによってこんないいことがありましたと報告しなければ、義理人情のない人間に思われてしまいます。フィードバックは結構諸刃の剣です。
そのため、フィードバックに関しては信頼できる人にだけしてもらって、その人にだけ報告するのが効率的です。またフィードバックは人によって180度異なるので、場合によってはフィードバックを否定することにもなりかねません。フィードバックを求めながら否定するのはこれもいいことではないので、できるだけフィードバックを委ねる人間は少ない方がいいに決まっています。
フィードバックは確かに素晴らしいことですが、時と場合によっては逆に痛い目を見ることもあると柴垣敏久さんは考えます。