柴垣敏久が驚いた被害者意識に潜むウラの気持ち


柴垣敏久さんは被害者意識という言葉に敏感です。これは柴垣敏久さん自身が被害者意識の塊だから気にしているというわけではなく、被害者意識がもたらす悪影響の大きさを考え、被害者意識が強い人はどんな人なのだろうかという興味関心が強いからです。すぐに自分は被害者であることをアピールする人は、果たして本当に被害者なのかと柴垣敏久さんは考えています。

もちろん、誰がどう見ても落ち度がない場合であれば被害者意識を持っても仕方ありません。しかし、実際に被害者意識の強い人を見ると、疑問符が何個も生じるような働き方をしていることが多く、むしろ加害者ではないかと疑っています。ここでは被害者意識に潜むウラの気持ちをご紹介し、どうあるべきかを探ります。

自分は全て正しいという考え

被害者意識が強い人は、基本的に自分のやっていることはすべて正しいと考えています。自分は仕事を100%完璧にこなしているという自負が強いので、ちょっとしたミスにも許せなく、被害を受けたと怒りだします。確かに仕事を真剣に取り組み、仕事人間のような人からすれば、許せない部分はかなりあるかもしれません。しかし、本当に全て自分が正しいのかと考えるとかなり微妙です。

仕事に限らず、自分のやっていることは全て正しいということはまずありません。どこかで必ず間違いをしていますし、その間違いを認識できていないだけです。つまり、自分自身だって間違いで相手に被害を与えている加害者であり、罪の意識が全くない状態とも言えます。学生を中心に、自分はやっているのに周囲の人たちが言うことを聞かないと嘆く人がいますが、自分自身もどこかで間違いを犯していて、反省がないのが伝わっているだけです。

柴垣敏久さんは、元々自分が全て正しいとは思っていません。人間は間違えることが多く、時に人を傷つけることがあり、常に自分の行動は正しかったのかと自問自答をします。その中で腹を括って勝負に出る、指摘を行うといったことをするのです。被害者意識が強い人は自分は全て正しいと思いがちで、そのような考えは傲慢そのもの。あまりいい考え方とは言えないでしょう。

被害者意識が強い人の攻撃はどんなに激しくても正当防衛

柴垣敏久さんは直属の後輩が仕事でミスを犯し、後輩と一緒に取引先まで出向いて謝罪したことがあるそうです。ミスといっても柴垣敏久さんからすればありがちなミスに思えたのと同時に、自分も最初のころはたまにやってたと懐かしくすら思っていたぐらい。ところが先方はかなり怒っており、こんなミスは初めてだ、今後の取引は考えさせてもらうと取り付く島もない状態でした。後輩は平身低頭、いまにも泣きださんばかりに反省しているのに、先方は攻撃を続けます。

一体何を求めているのだろうと柴垣敏久さんが疑問に思っていると、その取引先は後輩に対し、土下座を要求したのです。柴垣敏久さんはそれに腹立たしい気持ちになったのと同時に、ミスをされた側はどんな要求をしてもいいのかと怒りが湧いてきたそうです。後輩を守ろうとそれはできないと言おうとした矢先、取引先の社長が登場し、そんなことで怒っているのかと部下を諫め、むしろ社長が頭を下げる展開に。土下座を要求した人物は、憮然とした態度でその様子を見ていました。

この経験から、柴垣敏久さんは、にわかに信じがたい要求をするときはすべて正当防衛の範疇にあるのだと実感します。同時に、ミスをする側は、大騒ぎすることではないだろうと思いがちで、それが大きなギャップを生み出すと考えたのです。それ以降、直属の後輩などに対してちょっとしたミスでも、命を奪われるぐらいの覚悟で臨んだ方がいい、ミスを重く受け止めた方がいいと指導しました。それだけ被害者意識が強い人もいるということを教えたいのと同時に、あの光景がそれだけ鮮明に残っているのです。

被害者意識はゼロでもいい

柴垣敏久さん自身に被害者意識はほとんどありません。その理由は、被害者意識を強くしても費用対効果がなく、むしろ邪魔なことが多いからです。被害者意識は過去に囚われやすく、未来のことを考えられない時に持ちやすい意識だと柴垣敏久さんは考えています。昔は良かったが今は最悪という考えは、明らかに被害者意識を持つ人間の発想であり、いかにも今自分が虐げられているような言い方ですが、自分自身でどうにでもなるものであり、それを他人に押し付けるのはおかしなことです。

結局、今も昔も他人本位、他人に合わせて生きてきただけなので、その時点で被害者意識も何もないのではないかと柴垣敏久さんは疑問を投げかけます。被害者意識なんかすべて捨てた方がいいことが多く、被害者意識を持ち続ける理由はどこにもありません。逆に加害者になり得るかもしれない意識を持つことの方が重要ではないかと柴垣敏久さんは説きます。


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