企業側が採用活動を行うと結構な費用がかかります。マイナビなどに掲載し、実際に採用が決まればそれだけでびっくりするような費用がかかるので、企業側としては採用が慎重に。かといって、ハローワークに出しても費用こそさほどかかりませんが、質がいいとは言えない人がやってくることも。それは企業側にも言えることであり、ブラック企業と言えるような会社がゴロゴロとハローワークの求人の中に含まれています。
柴垣敏久さんはこのように失敗をできるだけ避けようとする動きに対して同情をする一方、就職活動を行う学生の名前で検索をかける行為に何の得があるのだろうかと疑問を投げかけます。結局、過去を重視し今や未来を重視していないのではないかと思ってしまうからです。なぜそのようなことをしてしまうのか、柴垣敏久さんなりの考えをまとめています。
名前を検索する会社が大したことはないと考える理由
柴垣敏久さんは、就活の学生の名前を事前に調べるような会社は大した会社ではないと考えています。なぜなら、人事担当者が採用活動でどれだけ忙しいのかを知っているからです。柴垣敏久さん自身は採用活動に携わっていたわけではありませんが、知り合いの人物が採用活動を行い、自らも面接官を務めていたそうです。採用の時期はとにかく仕事が多く、休みたくても休めないくらいに仕事に追われてしまうようです。
採用の計画を立てる、就職サイトの内容を決める、打ち合わせを行う、エントリーシートをチェックするなどありとあらゆることをしていきます。もしも名前を検索するとすれば、それもまた作業の1つになり、より忙殺されるでしょう。つまり、検索できる時点で検索をするだけの余裕がある会社と言えます。もちろん、評価が高い学生が現れた時は別ですが、片っ端から検索をするような会社はロクでもない会社だと柴垣敏久さんは考えます。
社長などに会わせる前に一通り調べるケースはあるかもしれません。ただ、本来素行不良の学生はこの面接の間で馬脚を露す可能性が高く、最終面接までに馬脚を露していなかった時点で、仮に素行不良の学生だったとしても何かしらの才能があった可能性が高く、会社にとって矯正する力さえあれば大きな力を生み出す社員になる可能性を秘めます。その可能性を若気の至りのようなもので潰すことは本当に得策なのかと柴垣敏久さんは疑問を抱いています。
実名でやるリスクは確かにあるが
柴垣敏久さんはSNSに対して恐怖心があり、学生時代から実名でやることを避けてきました。周りの友人は実名でネットを始め、個人情報が簡単に曝け出され、大変な思いをしており、それで警戒心を持ったそうです。実名でやるリスクが大きいことは今に始まったことではなく、いつの時代もリスクはあります。そして、実名でやんちゃをしていたことを紹介するようなことをしていたら、敬遠したくなるのも理解できます。
ただし、会社員になったら絶対に実名を使ってネットに出るようなことはしないと思っていても、実名で出ざるを得ないケースがあります。特に小売店などは実名を出してお客さんにアピールをすることがあります。転職をする際、前職の情報を調べる際にその情報を調べられて、あれやこれやと詮索される可能性だって十分にあるのです。実名のリスクはいつだって起こりえます。
一方で、若気の至りの可能性が高く、十分なネット教育を受けてこなかったケースが想定されます。柴垣敏久さんのように周りで痛い目を見ている人などがいれば、自分も警戒しようと思えますが、運悪く周囲にこれらの人がいなかったら若気の至りで書き込んでしまう可能性もあるでしょう。そのような人は教育をすれば矯正できる可能性があります。その可能性をなぜ信じてあげられないのかと柴垣敏久さんは憤慨します。
結局は自分たちは育成能力がないと宣言しているようなもの
柴垣敏久さんは、結局自分たちで矯正をしたり、育成をしたりする能力がないから、確実な人材を手に入れようとしているだけだと解説。至らない部分は確かにあるけれど、いくらだって矯正できるという自負があれば、個性を伸ばして弱点を補うような育て方もできるでしょう。それができないのは人を育てるだけの余裕がない会社だからであり、自分たちで可能性を潰しているだけなのです。
そのような宣言を事実上しているような会社は避けるべきでしょう。逆に面接の初期と最終面接で明らかに旗色が悪くなった時はどこかしらで検索をした時です。それで落とされたとしても、その程度の会社であると思った方がいいでしょう。男気があって、義理人情がある会社ならば過去は過去、未来は未来と割り切ってくれます。そんな会社は日本にいくらでもあるので、くよくよしない方がいいと柴垣敏久さんは学生に対して熱く投げかけます。